ガンダムと言えば、新たなアニメブームをもたらし、これに影響されたアニメも無数に製作されることに。

特にロボットアニメは本作同様に、登場人物や世界観の描写に力を注ぐことで高年齢層も意識した作品作りがなされるようになり、数多くの作品を生み出しました。

そして最新作、劇場版『Gのレコンギスタ』第1部キービジュアル創通・サンライズイメージを拡大し、2014年に放送されたアニメ「ガンダムGのレコンギスタ」(全26話)に新作カットを追加した、全5部の劇場版の第1部となる「劇場版ガンダムGのレコンギスタI行け!コア・ファイター」がこの秋公開されました。

ガンダムGのレコンギスタI

テレビアニメ「ガンダムGのレコンギスタ」は、富野由悠季監督が『∀ガンダム』(ターンエーガンダム)以来、15年ぶりに手がけた「ガンダム」のテレビアニメシリーズ。

総監督として指揮するのみならず、全話の脚本も自ら手がけるなど精魂を注いでいます。

リギルド・センチュリーと呼ばれる時代を舞台に、軌道エレベータの守備隊キャピタル・ガードの候補生ベルリが、謎の少女ラライヤや宇宙海賊の少女アイーダ、そしてモビルスーツ・Gセルフと出会い、地球園規模の大きな争いへと巻き込まれていき、地球⇒月周辺⇒金星方面へと旅立ち帰ってくるロードムービーとなっています。

富野監督はこのシリーズを特に小学校高学年〜中学生に観てほしいとしています。

その理由は「一番、世間というものがわかってきて、疑問を感じる時期だから」と。

また、さらに本作を子供達に見てもらえるように王道のエンターテイメントとして作り、そのために韓国ドラマなどを参考にした、いわゆるベタとも言えるような王道な設定を盛り込んだと述べています。

また、『∀ガンダム』は「ガンダムの総決算」的作品であり、その“次”をみせる「脱ガンダム」には行っていなかったが、『Gのレコンギスタ』は「脱ガンダム」をすることができた、とも言われている作品です。

劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ』ストーリー

地球上のエネルギー源であるフォトン・バッテリーを宇宙よりもたらすキャピタル・タワー。

タワーを護るキャピタル・ガードの候補生ベルリ・ゼナムは、初めての実習で宇宙海賊の襲撃に遭遇して捕獲に協力。

捕まった少女アイーダに不思議な何かを感じたベルリは、彼女が「G-セルフ」と呼ぶ高性能モビルスーツを何故か起動できてしまう。

宇宙世紀終焉後の時代、リギルド・センチュリーを舞台に少年少女の冒険は世界の真相に直進する。

ガンダムGのレコンギスタI

富野監督は、今作に対し巨大ロボット物というジャンルだからこそ、近未来も明るく物語にして描けるのではないかと考えて創ったとの事。

この作品で地球を見下ろしている夜の部分の電気の光の量は、20世紀初期の様に少なくしてあります。

宇宙エレベータについては、宇宙世紀を受け継いだ技術によって、現在考えられている以上の大きな質量のものが運用されています。

それらの意味はどういうことなのか?という事を子供達には考えて欲しいと。大人の理屈だけで考えてしまうと楽しいアニメ映画にはならない、だから本作は楽しく観ていただきたいという思いが込められています。

その上で、未来的な問題がどこにあるのかという事にも考えを巡らし、その解決策を考えてくれる子ども達がでる事を待ちたいとの事。

富野由悠季監督について

ガンダムGのレコンギスタI

富野監督は『鉄腕アトム』の制作に携わるなど、日本のテレビアニメ界をその創世期から知る人物。

1979年の最初のガンダムアニメ、『機動戦士ガンダム』の総監督・原作・脚本・演出・絵コンテ・作詞を務めています。

それまでの巨大ロボットものとは一線を画し、「リアルロボットもの」と呼ばれるジャンルを確立したエポックメイキングな作品。

ロボットものでありながら、人間ドラマを主軸とした物語は、初回放送時に一部に熱狂的な支持者を獲得しました。

実は放送当初の視聴率は振るわず、放送打ち切りになったりしたが、打ち切りが決まった直後から人気が上昇。

放送終了半年後に発売されたガンダムのプラモデル、いわゆる『ガンプラ』が爆発的な売れ行きを見せ、社会現象ともいえるブームを巻き起こしました。

その後も世界観や設定、歴史などを踏襲、あるいは共有する小説・漫画も多く発売され、メディアミックスの先駆けとも言われています。

ガンプラや各種トイは今もなお初代ガンダムやザクの新型アイテムが発売されるなど、根強い人気を保っている事は周知の通り。

ロボットアニメという枠組を破綻させることなく、スペースファンタジーと哲学を盛り込み、現実味を持たせた物語や設定によって高年齢層の視聴に堪えうる作品作りが可能であることを示すこととなった最初のアニメ、ガンダム。

「少年ベルリの出会い」の物語が、放送から5年という歳月を経て今、新規カットを加え、全5部作の劇場版として大スペクタクル公開。

ガンダムGのレコンギスタI

2019年から2020年にかけて、全国6会場にて日本を代表するアニメ演出家・富野監督の作品・演出を膨大な資料から紐解き、6つの大きなテーマにくくりなおし、紹介する展覧会「富野由悠季の世界」が開催されています。

ガンダムファンは映画だけでなく、こちらも必見!