アベンジャーズ・エンドゲーム

約3037億円以上の興行収入を記録する大ヒットとなり、世界興行収入ではかの名作「タイタニック」(1998)を超えた『アベンジャーズ・エンドゲーム』。

アメコミ界の巨頭・「マーベル」のコミックを実写化し、社会現象を起こすほど人気となったマーベルコミックの国民的ヒーロー達が一堂に会する、『アベンジャーズ』シリーズの集大成です。

MCU映画に登場したキャラクターたちが最凶の敵・サノスとその軍団に立ち向かうため、壮大な戦いが繰り広げられました。

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アメリカン・コミックのマーベルコミック『アべンジャーズ』の実写映画化作品は、2012年公開の『アべンジャーズ』、2015年公開の『アべンジャーズ・エイジ’・オブ・ウルトロン』、2018年公開の『アべンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続くシリーズ第4作であり、完結編。

製作はマーベル・スタジオ、配給はウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ。

また、様々なマーベル・コミックの実写映画を、同一の世界観のクロスオーバー作品 (異なる作品に登場するキャラクターや舞台設定、世界観などがひとつの作品に登場すること) として扱う『マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)シリーズとしては第22作品目の映画。

2008年公開の第1作『アイアンマン』から10年以上にわたって展開してきたMCUシリーズの様々な「フィナーレ」です。

2018年に公開された『インフィニティ・ウォー』(2018)と連ねたこれらの作品は元々『インフィニティ・ウォー パート1』と『パート2』と称されており、製作陣は『インフィニティ・ウォー』はサノスが主人公の物語であり、『エンドゲーム』はヒーローたちの物語であるとして、「互いに独立している」別作品と位置付けていました。

MCUでは『アベンジャーズ エンドゲーム』まで、これまでに22作品が製作されていますが、”ヒーローたちの活躍” というド派手なエンタテインメントに、人間としての懊悩、そして今日性を持つさまざまなテーマを盛り込み、拡大と収縮、軋轢と調和を繰り返し現在まで紡がれてきました。

作品群は11年間に及んで積み重ねられており、“大きな物語”を形成。

そしてその多くが、スーパーパワーを持つヒーローも我々と同じく弱さを抱える人間である、という事を表現してきました。

これこそが、マーベルの映画を大ヒットさせた要因とも言えます。

その考えとは、原作者であり、アメコミ界の巨匠と言われる故スタン・リー氏によるもの。

「フィクションに現実世界を導入させる」という試みのもとに、舞台を現実の都市としヒーローなのに生活に困窮する様子を描くなど、リアリティ溢れる描写を施してきました。

それまでのスーパーヒーローと言えば実生活もかっこよくて、遠い存在。でもマーベルのヒーロー達はかっこいいし強いのに、親しみやすい雰囲気があり、読者・視聴者との距離を縮めました。

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マーベルコミックで『スパイダーマン』、『X-メン』などのスーパーヒーローコミックの原作を手がけ、業界に変革をもたらしたスタン・リー。生前はマーベル・コミックの編集委員、マーベル・メディアの名誉会長を務め、マーベル・コミックの実写映画版の製作総指揮などを務めていました。

生前はMCUの22の映画にカメオ出演してきた事はファンの間では有名。

時には配達員、時には道端の老人、様々なシーンに登場する彼のカメオシーンは、ファンたちの一つの楽しみでしたね。

『アベンジャーズ エンドゲーム』では、1970年代にトニー・スタークとスティーブ・ロジャースがタイムトラベルするシーンに映っています。

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『アベンジャーズ エンドゲーム』では、厳しいネタバレ規制がかかっていた事も有名。

映画の中でも異例といえる、「公開後もネタバレは控えて」という公式からのアナウンスがあったり、キャスト陣にもうっかりストーリーを漏らしてしまうことがないよう、万全の対策が取られていた様です。

キャストたちも事前に全ての脚本を読むことはできなかったそうですが、しかしアイアンマンことトニー・スタークを演じたロバート・ダウニー・Jrだけは、全体を読むことが許されていたのだとか。

それ以外のキャストは、それぞれ部分的な脚本だけを読んでいました。中でもスパイダーマンことピーター・パーカーを演じたトム・ホランドは、自分が演じる部分しか読ませてもらえなかったらしいです、

2018年から2019年にかけては正に、MCUが制する1年となりました。

前作『インフィニティ・ウォー』は公開早々にオープニング興行収入で米国・全世界合計で歴代最高記録を樹立し、2016年に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が誇っていた記録を抜き去りました。

同年夏には『アントマン&ワスプ』、2019年3月には『キャプテン・マーベル』を公開。

ヒーローが敗れるという『インフィニティ・ウォー』の衝撃的な余韻を『アントマン&ワスプ』で癒やし、『キャプテン・マーベル』で希望を。

その間、「『エンドゲーム』がどう解決するのか⁈」という話題で持ち切りになり、一年後の2019年4月に『アベンジャーズ エンドゲーム』を公開。

供給ペースをまったく緩めないまま、全世界が待ち望んだ、絶妙なタイミングでの公開だったのです。

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完結編に位置づけられ、11年間の伏線をことごとく回収していったストーリーはまさに、“上映時間11年”とも称されています。

ファンには必見な事は間違いありませんが、この大ヒットの影響で初めてマーベル作品を見る人も多く、ここから『アイアンマン』や『スパイダーマン』などを見て、ファンになっていった人も多数。

2018年から2019年、話題も興行収入も支配したMCUは、6月に公開された『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で「フェイズ3」を締めくくり、フェイズ4へと進んでいきます。

次の公開作品は2020年5月、初代アベンジャーズの一員として活躍してきたブラック・ウィドウ待望の単独映画「ブラック・ウィドウ (原題)」です。

今から待ちきれません!!